今回は、別居時の婚姻費用や、離婚時の財産分与、養育費、慰謝料などの不払いを防ぐ“公正証書”について、ざっくりと解説していきます。
この記事は、主にこんな方におすすめです。
- 別居を考えており、婚姻費用を請求するつもりだ
- 離婚にあたって、養育費・財産分与・慰謝料がもらえる見込みだ
- 取り決めた婚姻費用・養育費・財産分与・慰謝料がきっちり払われるようにしたい
この記事を書いている婚離宮(一人称:離宮)は弁護士ではありませんが、離宮自身が、別居&調停離婚を弁護士をつけずに経験した離婚にちょっと詳しい一般人です。
実体験をベースに弁護士の人も教えてくれないようなテクニック含めて、ご紹介したいと思います。
離宮のことをより詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。
実体験以外の法律的な知識は、弁護士さんが書いたソースを明記し、分かりやすく、かつ正しい情報をお伝えするよう心がけています。
公正証書の概要
公正証書とは、「公証役場で公証人に作成してもらう契約書」のことです。
離婚協議書を公正役場に持っていくことで公正証書にしてもらえます。
離婚に伴う取り決めを「離婚協議書」などに書面化するのが一般的ですが、養育費や財産分与などの金銭面の条件の取り決めに強制力を持たせる効力があります。
離婚の他に、別居に伴う婚姻費用(※)の取り決めも同様に公正証書かすることで、その支払いに強制力を持たせることができます。
公正証書については、下記のサイトに詳しい解説がありますが、
この記事でもかいつまんで取り上げます。
※ 婚姻費用については、別途note記事で解説していますので、ご参照ください。(女性目線の記事ですが、男性は”もらえる”→”支払う”に変換いただければ、十分に参考になるかと思います。)
また、養育費については、下記の記事をご参照ください。
また、財産分与については下記の記事にまとめています。
公正証書作成のメリットとデメリット
まず、公正証書のメリットは大きく下記の2点です。
- 裁判をしなくても、強制執行(≒差し押さえ)の手続きを取れる
- 原本がなくなったり、改ざんされたりしない
特に、強制執行ができるのが最大にして最強のメリットです。
養育費や財産分与の未払いがあっても、給与などを差し押さえすることで、そのリスクを軽減することができます。
ちなみに、給与の場合は最大で半額まで差し押さえができます。
一方で、デメリットは下記のとおりです。
- 発行にお金がかかる(金額総額にもよるが一般的には、数万円)
- 作成に手間がかかる(特に条件面の調整)
- 公正証書の作成を相手から拒否される可能性がある
最大のネックは、作成の手間と双方の合意です。
実際、離宮も弁護士なしで公正証書にする前提の離婚協議書を作ると相手側から言われたのですが、この「公正証書にされる」という点に抵抗があり、協議が難航しました。
それもあり、条件面の調整でも、法的拘束力があるお金関連の条項について、歩み寄る勇気が出ず、なかなか折り合いがつきませんでした。
面会交流の強制力はない点に注意
子供がいる場合の離婚や別居の取り決めとして、”面会交流“と呼ばれる、「どれぐらいのペースで子供と面会するか?」の条件があります。
気をつけていただきたいのは、この取り決めを公正証書にしても、強制力を持たせることはできません。
月1と決めたが、全然合わせてくれない場合でも特に相手側に罰則はないのです。
さらに、この取り決めが守られないからといって、養育費を支払わないなどはできません。
面会交流を一切応じてくれない場合でも、養育費を払っていないと基本は差し押さえられる恐れがありますので、しっかりと養育費は支払いましょう。
ただし、面会交流に応じない場合は、相手側に対して制裁金を課す「間接強制」というものがあります。
話はそれますが、ご参考までに貼っておきます。
公正証書は専門家なしで作れる?
条件面の折り合いがついたら文面の作成です。
この公正証書作成は、結論から言うと、ある程度は自分で作れます。
例えば、離婚協議の場合、公正証書向けのテンプレートを調べれば多くありますので、それに従えばある程度自分でも作成できます。
また、自力で作成するにあたっては、下記のサイトが参考になると思います。
とはいえ、「条件面での抜け漏れがないか?」や「公正証書にしても無効となってしまう内容がないか?」の観点で、ある程度作ってから一度弁護士の方に相談をしていただくことをお勧めします。
弁護士さんへの相談は依頼と違い、大体1時間1万円程度で受けてくださいます。
ちなみに、公正証書の専門家といえば、行政書士さんも候補に上がるかもしれません。
行政書士さんは安価な分、できる範囲が限られており、基本は離婚条件が固まった後がメインです。
また、証書の作成自体も公証役場の公証人がやってくれますし、見てもらうメリットは個人的にはあまり少ないのではないかと思います。
(もちろん、法的に有効な文面になっているか?などは参考になるかと思います。)
具体的には、以下のような違いがあります。
条件面の調整が難航するなどの理由で、公正証書の作成が大変な場合は、調停離婚を選択するのも一つの手です。
例えば、今回記載したような財産分与・慰謝料・養育費など調停委員からどういう条件にするか?といった希望のすり合わせからしてくれます。
さらに決まった内容を裁判員の手によって、法的に有効な文面にしてくれます。公正証書と比べると、作成費用の観点でも圧倒的に安いです。
(ただし、時間はかかりますが。。。)
出来上がった調書は公正証書と同様に、金銭面の条件に関して、差し押さえることができます。
まとめ
今回の記事では、公正証書に関して以下7点を紹介しました。
- 公正証書にすると、離婚や別居の金銭面の条件(慰謝料・財産分与・養育費・婚姻費用)の不払い時に給与等の差し押さえが可能
- 作成自体は、数万円だが、条件を双方で合意する必要がある
- 最大のネックは、作成自体の合意と条件の合意
- 公正証書自体は、専門家なしでもある程度できるが、抜け漏れがないか?などのチェックのために、一度弁護士に内容を相談すべき
- 条件面の調整から難航する場合は、離婚調停が有用
- 離婚調停後に作成される調書も公正証書同様、不払い時の差し押さえの効力を持つ
その他、離婚条件のに際しては、下記のnoteも参考になるかと思います。
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