弁護士なしでも大丈夫!?離婚調停の調停委員の役割とサポート

調停

婚離宮(kon-no-rikyu)です。
今回の記事では、調停(離婚・養育費・婚姻)における調停委員の役割について、実体験と合わせてご説明したいと思います。

この記事では、以下に当てはまる方向けです。
(当てはまる数が多ければ多いほど、参考になるかと思います。)

  • 離婚を考えており、弁護士をつけようか悩んでいる
  • 離婚の話し合いをしているものの、うまく進んでおらず、離婚調停を考えている
  • 離婚調停を申し立てられ、どうすればいいかわからない

この記事を書いている婚離宮(一人称:離宮)は弁護士ではありませんが、離宮自身が、別居&調停離婚を弁護士をつけずに経験した離婚にちょっと詳しい一般人です。

実体験をベースに弁護士の人も教えてくれないようなテクニック含めて、ご紹介したいと思います。
離宮のことをより詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。

「婚離宮」について
初めまして。婚離宮(kon-no-rikyu)と申します。この記事では、婚離宮がどのような人物で、どんな経験をしているのか、そしてブログやnoteで何を伝えたいのかを簡単にご説明したいと思います。婚離宮について(2023年時点)名前:婚離宮...

実体験以外の法律的な知識は、弁護士さんが書いたソースを明記し、分かりやすく、かつ正しい情報をお伝えするよう心がけています。

調停委員の役割は何?

調停委員の役割は、一言でいうと、「双方が納得できるような結論に至るよう話し合いをサポートする」です。
具体的には、以下のようなサポートをしてくれます。

  1. 論点の提示:夫婦双方で建設的な話し合いを進められるよう論点を提示してくれる
  2. 論拠の明確化:双方の主張に対して、第三者目線からでも納得できるよう主張の根拠を聞いたり、証拠となる資料の提示を求めたりする
  3. 折衷案の提示:提示された証拠資料などをもとに、法的な事例に基づいた落とし所案の提示や、裁判員の見解案を提示する
  4. 譲歩の交渉:双方の主張が食い違う場合に、双方に対して譲歩を促し、話し合いの落とし所を探る

なんだかわかるような…わからないような…という感じですよね?
具体的にどんなサポートなのかをさらに詳しく解説していきます。

 

サポート例①:論点の提示

調停委員は、「夫婦双方で建設的な話し合いを進められるよう論点を提示してくれる」のですが、それは一体どういうことか。
具体的な例で説明していきます。

例えば、離婚調停の場合、そもそも調停を申し立てる時に書く”申立書“のフォーマット自体に以下の7項目の主張を記入する欄があります。

  1. 離婚の是非
  2. 親権
  3. 面会交流
  4. 養育費
  5. 財産分与
  6. 慰謝料
  7. 年金分割

実際のフォーマット及び記入例は以下のとおりです。

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2022/2021_rikoncyoutei_rei.pdf

これを埋めた上で、離婚調停の最初の流れとしては、以下のように進みます。

  • まず、申し立てた側(:申立人)に対し、上記7点+α(その他何か主張したいこと)について、申立書の通りかを確認
  • その後、この7点+αそれぞれについて、申し立てられた側(:相手方)の意向を確認し、齟齬がある項目を明確にする

このように、「ベースとなる条件の項目を提示」した上で、「どこに意見の食い違いがあるか?」を明確にしてくれます。

ちなみに、上記の2.〜7. の6項目については、一般的に離婚条件として話し合うべき内容です。
が、夫婦で話し合うと素人同士ゆえに、こうした話し合うべき項目がそもそもわかっていなかったりするので、こうして提示してもらえるのは非常にありがたいです。

ちなみに、この6項目については、下記の記事で細かく解説していますので、こちらもご参照ください。

 

サポート例②:論拠の明確化

調停委員は、「双方の主張に対して、第三者目線からでも納得できるよう主張の根拠を聞いたり、証拠となる資料の提示を求めたりする」と記載しました。
こちらについては実体験を例に説明します。

実際に、離宮が養育費減額調停を申し立てた際には、

  1. 減額の事由がある(=再婚して、子供が生まれた)ことを証明する資料
  2. 上記以外の金額変更事由(=年収・その他家族構成の変更)がないことを証明する資料
  3. なぜ申し立てた金額のように減額するに至ったのか考え方を示す書面の提示

の3点を求められました。

具体的には、1.と2.については、戸籍謄本や収入を証明する資料(自身及び再婚相手の源泉徴収票など)を出しました。
これは、相手方も同様です。

3.については、算定表のベースになる計算式があり、それに基にどんな条件で計算したかを資料にして提出しました。
(※計算の考え方などはいずれどこかでご紹介します)

このように、単純に主張内容を確認するだけでなく、
その主張自体が正しいのか?
どんな考え方に基づいてその主張をしているか?
を明確にするよう促してくれます。

こうすることで、建設的な議論を実現してくれるのです。

 

サポート例③:折衷案の提示 (1)-解決金

調停委員のミッションは、双方の主張の差を埋める「着地点を見つけて、できるだけ速やかに合意を取り付けること」です。
いつまでも議論が平行線だと、永遠に終わらなくなってしまうので、落とし所を積極的に探してくれます。

今回の実例は、離宮の離婚調停の「財産分与」の話です。

別記事(※1 本セクション末尾参照)で解説している通り、
婚姻届を出した日から別居した日までに築かれた双方管理の資産の増加分を按分するやり方で計算を進めました。

しかし、計算結果を見た前妻が「私は結婚生活苦労が多かったし、その中で頑張って貯めていたのに、旦那が好き勝手にお金を使っていたことで、分与額が少なくなるのはおかしい」と主張してきました。

ちなみに、交友に使った費用よりも、結婚後に買った家具や家電の費用・出産費用・ジュニアNISAの費用として、離宮の口座から拠出された金額の方が圧倒的に多いので、ほぼ難癖でしかないです。

また、財産分与は、上記の計算で出した資産の増加額を上限として、按分する割合を変える(=100:0にするなど)ぐらいしかやりようがありません。
一方、双方に離婚の責(どちらかが一方的に悪い離婚原因)もないので、慰謝料の請求も不可でした

そのため、通常はこれ以上は請求できないのですが、調停委員から「解決金」(※2 本セクション末尾参照)という名目で、財産分与にプラスできると提案されました。

その結果、離宮が準備段階で覚悟していた財産分与の想定の範囲内だったので、「解決金」を支払うことを承諾しました。

このように、双方が歩み寄れる案を提示してくれるのです。

 

※1 財産分与の期間の考え方などは、下記の記事にて解説しています。

※2 解決金については、下記の記事で詳細を解説しています。

 

サポート例③:折衷案の提示 (2)-裁判官の見解

類似の事例で養育費減額調停もあります。

養育費減額調停では、離宮自身の再婚+出産による「家族構成の変化」と「昇進に伴う年収の増加」があり、双方を加味した計算結果として、X.X万円減額であると主張していました。

一方、元妻側は一切の減額を拒否し続けており、また議論が平行線になりました。

そこで、調停委員より、双方の年収等の情報をもとに算出した裁判官の見解の金額を提案されました。

この“裁判官の見解”ですが、調停が不成立となった場合に、一般的には、事実に基づいて裁判官が結論を出す審判“というものに移行します。
(審判で出される結論は、双方の合意や納得は無関係)

この場合の”裁判官の見解”は、この”審判での提示内容“にほぼ等しいと考えてください。

この裁判官の見解の内容が、離宮が計算した金額に近い減額の内容だったため、前妻が折れ、金額面含め、減額の合意に至りました。

 

サポート例④:譲歩の交渉

先ほどと重複しますが、調停委員の目的は、「齟齬がある論点に対して、できるだけ速やかに合意を取り付けること」です。

そのため、意見が違う場合は、一方または双方に折れてもらわないといけません。
なので、調停委員から(時にやや強引に)、積極的に譲歩できないでしょうか?と提案されます。

調停委員は原則として、中立的な立場なので、よほど心象が悪くなければ、こちらだけでなく、相手にも同様に譲歩するよう交渉してくれます。

実際、離宮の離婚調停の養育費でも、離宮は以下の2点に対し、ずっと折れないという主張を繰り返していました。

  • 金額は算定表の指し示すグラフの点から算出した正確な金額
    (≠算定表で示される範囲の上限額)
  • 支払期間の終了は、20歳まで(≠大学卒業まで)

上記の≠の部分が前妻の主張でしたが、離宮が審判でも似たような内容になると推測さるため、応じないと調停委員に固辞していました。

すると、調停委員が前妻側を説得してくれたのか、
結果、離宮の主張に対し、満額回答を得ることができました。

このように意見の乖離がある場合には、齟齬を埋めるために(かなり積極的に)譲歩を促してくれます。 

 

まとめ

今回は、離婚調停における調停委員の役割について説明しました。

  • 調停委員の役割を一言で言うと、「双方が納得できるような結論に至るよう話し合いをサポートする」こと
  • 調停委員のミッションは、「着地点を見つけて、できるだけ速やかに合意を取り付ける」こと

具体的には、以下の4つのサポートが受けられることを実体験と合わせてご紹介しました。

  1. 論点の提示:夫婦双方で建設的な話し合いを進められるよう論点を提示してくれる
  2. 論拠の明確化:双方の主張に対して、第三者目線からでも納得できるよう主張の根拠を聞いたり、証拠となる資料の提示を求めたりする
  3. 折衷案の提示:提示された証拠資料などをもとに、法的な事例に基づいた落とし所案の提示や、裁判員の見解案を提示する
  4. 譲歩の交渉:双方の主張が食い違う場合に、双方に対して譲歩を促し、話し合いの落とし所を探る

離婚協議から調停に移行するかどうかの検討や、離婚調停の準備をするヒントにしていただければ幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。
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婚離宮 | 弁護士いらずの離活/弁護士なしの離婚調停経験者(持家有&子2人)|note
kon-no-rikyu(こんのりきゅう)と読みます。テーマ:「離婚に弁護士はいらない!」&「離婚で損しない!」→実体験をベースに財産分与や養育費で損をしないためのノウハウを提供する非弁護士の一般人です。弁護士なしで持ち家あり・子2人の離婚調停を経験

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