婚離宮(kon-no-rikyu)です。
今回の記事では、婚姻費用の未払いに有効な給与差し押さえができる手続きについてご説明したいと思います。
この記事では、主にこんな方におすすめです。
- 離婚を考えている or 現在、別居している
- 夫より収入が少ない妻である
(※収入が多い場合は、払う側になるので、男性向けの記事をご参照ください) - 離婚にあたって、一円でも多く手元にお金を得たい
- 右も左も分からないので「離活初心者」なので、とりあえず基礎から知りたい
この記事を書いている婚離宮(一人称:離宮)は弁護士ではありませんが、離宮自身が、別居&調停離婚を弁護士をつけずに経験した離婚にちょっと詳しい一般人です。
実体験をベースに弁護士の人も教えてくれないようなテクニック含めて、ご紹介したいと思います。
離宮のことをより詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。
実体験以外の法律的な知識は、弁護士さんが書いたソースを明記し、分かりやすく、かつ正しい情報をお伝えするよう心がけています。
婚姻費用の基礎的な知識については、下記のリンクをご参照ください。
婚姻費用の未払い時には給与の差し押さえができる
婚姻費用に関する取り決めは、一般的には下記のいずれか手続きを取ることで、給与や家などの資産を未払い時に差し押さえることができます。
- 強制執行認諾条項付きの公正証書にする
- 婚姻費用分担請求調停を行う
今回の記事では、下記の二つについて、具体的な手続きを説明していきます。
手続き1. 強制執行認諾条項付きの公正証書の作成
公正証書とは、公証人と呼ばれる裁判官などを長く務め法務大臣に任命された専門家が作成する公文書で、支払いが滞った場合などに強制執行する効力を持たせることができます。
公正証書については、別の記事でまとめていますので、下記をご確認ください。
公正証書作成の具体的な流れとしては、以下のとおりです。
まず、婚姻費用に関する条件を、以下の3条と6条のように記載します。
(※下記以外にも、親権など様々な取り決めがあるかと思います。これらについては、下記の引用元を見てください。)
第3条 (婚姻費用分担の定め)
引用:婚姻費用分担等合意契約公正証書の文例(見本) | 公正証書.net
甲は、乙に対し、別居が開始した日の属する月より、将来同居又は離婚するに至るまで、婚姻費用として、毎月8万円宛を、毎月末日限り、乙の指定する下記金融機関の口座へ、振込送金の方法により支払う。
記(乙の指定する金融機関の口座)
金融機関名:●●●●銀行
取扱営業所:●●●●支店
預金種別 :普通預金
口座番号 :〇〇〇〇〇〇〇
口座名義 :○○ △△
~~~~
第6条(強制執行認諾)
甲は、本証書第3条記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。
その上で、上記を公正役場という場所へ持ち込んで、手数料を払って公正証書としてもらうというものです。
もう少し細かい流れは、下記サイトに記載がされていますので詳細を知りたい方はこちらをご参照ください。
手続き2. 婚姻費用分担請求調停
婚姻費用の分担に関して話がまとまらない・話し合いができない場合は、家庭裁判所で”婚姻費用文体請求調停“というものを起こすことできます。
この調停では、調停委員という第三者を挟んで分担条件を話し合って決め、かつ取り決めた結果を差し押さえも行える”調書“にしてもらうことができます。
調停のキーマンとなる”調停委員“については、下記にまとめていますので、合わせてご確認ください。
基本的な婚姻費用調停の基本的な流れとして、下記の1.〜5.のような流れです。
- 申立書を記載の上、裁判所で申し立ての手続きをする
- 日程調整がされ、約1ヶ月後の平日日中に調停日が設けられる
- 調停日当日は、まず申立人が呼ばれ、申立書をベースに主張内容やその根拠のヒアリングを受けたのち、控え室で待機
- その後、相手方(申し立てられた方)が呼ばれ、申立人の主張内容を伝えられ、それに対する主張内容のヒアリングを受け、控え室で待機
- 3. と 4. のように双方の主張とそれに対する意見をヒアリングをされつつ、落とし所を探る調整がされる
(議論が難航する場合は、裁判所の見解が述べられることも)
このように相手と顔を合わせることなく、話し合いを行うことができます。
なお、調停申し立ての手続きについては、下記をご参照ください。
(基本は必要書類を用意して、フォーマットを予め記入する or 家庭裁判所で記入するという流れです)
一点注意いただきたいのは、調停の場合は、婚姻費用の支払い義務が発生する期間が、「調停を申し立てた時(=請求時)」となります。
婚姻費用は「請求時から離婚または別居解消時」までの分が支払われます。
引用:婚姻費用分担請求の調停を申し立てたい! 調停の流れと注意点を解説 | ベリーベスト法律事務所
つまり、「請求時」から計算するので、たとえ未払い期間が長かったとしても、請求する前の分をさかのぼって支払われることはありません。また、調停になると「調停申立時」から計算されるのが通常です。
つまり、以下のようなケースではいち早く調停を申し立てないと、婚姻費用のもらいそびれとなってしまってしまいます。
- 別居し始めているものの、公正証書にできるほど条件が固まっていない
- 婚姻費用について一通り取り決めたものの、公正証書にはしておらず、未払いである
公正証書と調停、どちらが良いのか?+まとめ
今回の記事では、婚姻費用の未払い時に給与差し押さえができる手続きとして、以下の二つを手続きの流れとともにご説明しました。
- 強制執行認諾条項付きの公正証書
- 婚姻費用分担請求調停
なお、どちらがおすすめか?ですが、個人的には調停を起こす方が良いと考えています。理由は下記の通りです。
- 条件を合意できており、文面案が作れていたら公正証書が早いが、発行に必要な費用が数万円かかる。
- 一方で、調停の場合、申し立てにかかる費用は、必要書類発行費用含めて2〜3,000円に収まる。
- 公正証書は前提として、双方の条件を合意する必要があるが、条件の合意自体に時間がかかるため、調停でまとめてしまった方が良い
- 調停は申し立てたタイミングから婚姻費用を請求できうる(調停員が一般的にはそうだと言ってくれる)のに対し、公正証書は払い始めるタイミングも協議事項の一つになる
以上の理由から、別居し始めたら可及的速やかに調停の申し立てを行うのが一番おすすめです。
ご覧いただきありがとうございました。
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