婚離宮(kon-no-rikyu)です。
今回の記事では、別居で発生する婚姻費用の特色をざっくりとわかりやすくご説明したいと思います。
この記事では、主にこんな方におすすめです。
- 離婚を考えている or 現在、別居している
- 夫より収入が少ない妻である
(※収入が多い場合は、払う側になるので、男性向けの記事をご参照ください) - 離婚にあたって、一円でも多く手元にお金を得たい
- 右も左も分からないので「離活初心者」なので、とりあえず基礎から知りたい
この記事を書いている婚離宮(一人称:離宮)は弁護士ではありませんが、離宮自身が、別居&調停離婚を弁護士をつけずに経験した離婚にちょっと詳しい一般人です。
実体験をベースに弁護士の人も教えてくれないようなテクニック含めて、ご紹介したいと思います。
離宮のことをより詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。
実体験以外の法律的な知識は、弁護士さんが書いたソースを明記し、分かりやすく、かつ正しい情報をお伝えするよう心がけています。
(前座)婚姻費用とは
離婚に関するお金といえば、”慰謝料“・”財産分与“・”養育費“がメジャーどころで、”婚姻費用“という言葉を聞いたことがない人もいらっしゃるかもしれません。
婚姻費用は、一言で言ってしまうと、「別居に伴ってもらえるお金」です。
具体的な定義は以下のとおりです。
夫婦の婚姻期間中は、家族がその資産・収入・社会的地位などの様々な事情に応じた通常の社会生活を維持するために必要な生活費(これを、法的に「婚姻費用」といいます)について、夫婦が互いに分担するものとされています(民法760条)。
引用:婚姻費用と養育費はどう違う?婚姻費用分担請求ができるケースや金額の決め方について解説 | アディーレ法律事務所
なぜ、”別居に伴って“なのかというと、
夫婦が円満に同居している場合、夫婦のルールで生活費をそれぞれ分担していますので、この婚姻費用の分担が問題となることはほとんどありません。
しかし、夫婦間にトラブルがあり別居となる場合には、この婚姻費用について、誰が誰に支払うのか、いつからいつまで支払うのか、いくら支払うのかが争いになり、問題となります。
引用:婚姻費用と養育費はどう違う?婚姻費用分担請求ができるケースや金額の決め方について解説 | アディーレ法律事務所
確かに、同居している間は、生活費のやり取りをどうするはお互いの合意のもとでよしなにやっていますよね。
それが”別居“となると、同居時と同じ取り決めのままでというわけにもいかないですよね。
なので、”婚姻費用“という形で必要な生活費を定義するというわけです。
特色1:”別居してから離婚するまで”毎月もらえる
婚姻費用は、“婚姻期間中”の生活水準を維持するための費用ですので、別居してから離婚(または再び同居)するまではもらい続けることができます。
(※養育費は”離婚後から”発生する費用なので、期間にも違いはあります。)
婚姻費用に話を戻すと、極端な話、別居状態のまま、離婚には同意しなければ、婚姻費用(通称:コンピ)をもらい続けることができます。
これが俗にいう「コンピ地獄」と呼ばれるものです。
と言うのも、離婚を一方的にするには、相手側に相当の責がないとできません。(不倫など)基本は双方での合意が必要なものです。
そのため、別居直後に離婚調停(裁判)を起こされても、「そのうち仲を修復する気がある」と主張し続ければ、年単位でお金をもらうことができます。
相手が離婚に反対をしていても、別居をしていれば離婚が認められるようになるということです。一般的には3年~5年程度の期間別居していた場合、婚姻関係の破綻を理由に離婚が認められる可能性が高いです。
引用:別居からの離婚が成立する期間はどれくらい?必要な期間や別居する際の注意点 | 弁護士ほっとライン
この後紹介していきますが、払うべき金額は、夫婦間の収入差によっては、相当な金額になります。
特色2:”養育費よりも多く”もらえる
養育費は、ざっくりいうと、”子の生活費のみ“の金額なのですが、
婚姻費用は、”子の生活費 + 配偶者(自身)の生活費” の金額になるので、養育費よりも金額が高くなるのが一般的です。
金額は、下記の裁判所のページに算定表というのがあり、夫婦双方の収入差から算定表を基準に金額を決めて行くのが一般的です。
具体的な例でいくと、
- 夫の収入:600万円
- 妻の収入:98万円
- 子(14歳未満):1人
の場合は、上記リンクの算定表で見ると
- 婚姻費用:約10〜12万円/月
- 養育費:約6〜8万円/月
月に4万円近く差があることがわかります。
月4万円だと、年額48万円です。結構な金額ですね。
このように婚姻費用は一般的に、妻の生活費が含まれる分多くもらえる傾向にあります。
特色3:家庭内別居でももらえる
別居には、物理的に別居するだけでなく”家庭内別居“というケースもあると思いますが、その場合でももらえます。
ただし、住居費や水道光熱費などどちらか一方が負担している費用もあるため、住まいも別にする通常の別居とはかかる費用が異なります。
そのため、算定表の金額からはこれらの負担事情を考慮し、算定表より低額な金額になることもあります。
家庭内別居における婚姻費用については下記をご確認ください。
特色4:子供がいなくてももらえる
養育費は子供のための費用なので、子供がいない夫婦の場合はもらえませんが、婚姻費用は子供がいなくてももらえます。
実際、裁判所のページには、(表10)婚姻費用・夫婦のみの表 が算定表が存在しています。
例えば、以下のケースでは、6〜8万円/月 の婚姻費用と算定表では基準が定められています。
- 夫の収入:600万円
- 妻の収入:98万円
- 子(14歳未満):1人
特色5:相手が子供を引き取っていてももらえる
ちなみに、収入が多い相手側が子供の面倒を見ており、自分が単体で出て行った場合でも金額は落ちますが、婚姻費用自体はもらえます。
この場合、算定表からの算出は難しいため、収入や家族構成の条件を入れるだけでピンポイントでいくらぐらいかを示してくれる下記シミュレーターで算出します。
上記サイトを用いると先ほどの例のケースでは、夫が子を養育していた場合でも、もらえる婚姻費用の目安金額は5.3万円/月です。
特色6:実家に住んでいてももらえる
婚姻費用は夫婦間の生活水準を維持するためのお金とお伝えしてきましたが、
以下のように、婚姻費用なしで生活水準が維持されていた場合でも、実家の支援がない場合と同等の金額をもらえます。
- 専業主婦で同居時から生活費は全て相手持ちだった
- 別居に伴い、実家に帰り、実家の両親が生活費を全て出してくれている
- 実家に帰ったことで特に生活水準の低下はない
理由としては、以下の2点のようです。
- 夫がまず第一に妻や子供を扶養する義務があるから
- 実家からの援助は、実家の好意に基づく”贈与”であり、通常夫に対して援助をしているわけではないから
実家はあくまで好意的に助けているだけで扶養する義務はないということなんですね。
この実家暮らしのケースについて、もう少し詳しく知りたい方は下記サイトをご参照ください。
特色7:未払い時の差し押さえができる
婚姻費用に関する取り決めは、一般的には下記のいずれか手続きを取ることで、給与や家などの資産を未払い時に差し押さえることができます。
- 強制執行認諾条項付きの公正証書にする
- 婚姻費用分担請求調停を行う
なお、こちらの内容については、下記の記事にて、以下の3点を解説しています。
- それぞれの手続きがどんなものなのか?
- 具体的な手続きの流れはどのようなものか?
- 実際公正証書と調停のどちらが良いのか?
実際いくらもらえるのか?を計算する
ここまで婚姻費用について色々と解説してきましたが、「実際、私の場合っていくらもらえる?」が気になるところかと思います。
算定表では、下限〜上限が2万円のレンジで定められますが、子供の人数によって表を変えたり色々と見づらいです。
しかも、平成30年度に変わっているため、古いものを見てしまっているケースもありました。
個人的には、収入や家族構成の条件を入れるだけでピンポイントでいくらぐらいかを示してくれる下記のシミュレーターが便利です。
(※ 何の営利目的もなく、純粋に自分も使っていたので紹介しています)
ただし、再婚していて前妻との子の間で養育費を払っているケースでは、この通りにならない可能性もあるため、該当する場合は一度弁護士に相談することをお勧めします。
まとめ
今回の記事では、婚姻費用の概要として、下記2点をご紹介しました。
- 別居に伴ってもらえる生活水準を保つための費用
- 夫婦のうち収入が多い方が少ない方に対して払う
また、婚姻費用の一般的な特色として、下記の7点をご紹介しました。
- 別居してから離婚(or 同居を再開)するまで”毎月”もらえる
- 子供がいる場合は、離婚後の養育費より多い金額になる
- 家庭内別居でももらえる
- 養育費と違い、子供がいなくてももらえる
- 別居に伴い、収入が多い夫側が子供を養育していてももらえる
- 実家に住んでいてもらえる
- 公正証書を作成する or 調停で取り決めを行うことで、未払い時に相手の財産を差し押さえができる
そして、具体的な金額の目安は、分担表ではなく無料で使えるシミュレーターのサイトがあるので、そちらを利用することをお勧めしました。
ご覧いただきありがとうございました。
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